Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
せいしゅんのぎゃくせつ
青春の逆説
織田 作之助
Lisez 青春の逆説 (せいしゅんのぎゃくせつ) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 162 593 caractères · 325 écrans
「君、御苦労やけど、別刷りの新聞二部、府庁の特高課へもって行ってんか」
「今直ぐですか」反射的にそう言ったが、むろん怒ったような声だった。
「ああ、今直ぐ行ってんか」
「いやです!」大袈裟に言えば、一年半こらえにこらえて来ただけの声の響きはあった。豹一自身、われながら満足出来る声だった。少くとも辞職の瞬間に相応わしいような声だと、思った。自分の記事が別刷りの埋草だけに使われたということへの怒りが、この気持に拍車を掛けた。社長の痩せた貧相な顔を見ると、さすがに気の毒な気もしたが、しかしもはや不正を前にしては、そんな同情はこの際の勘定にいれる必要はなかった。
「なんでや?」社長はさすがに糊から眼を離したが、豹一の真蒼な顔を見ると、なに思ったか、とんとんと二階へ駈け上って行った。
「毛利君、どないしたんや? お腹でも痛いのか?」園井はびっくりした声で、しかしわざとゆっくりとそう言った。豹一は返事をしなかった。間髪をいれず社長のあとを二階へ追うて行って、辞職を申出でる必要があるか、どうか、咄嗟のうちに考えていたからである。
(まごまごしていて、時期を逸しては醜態だ)そう思って、二階へ行こうとしたところへ社長が降りて来て、豹一に市電の切符を二枚渡した。