Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あおくさ

青草

十一谷 義三郎

Lisez 青草 (あおくさ) de 十一谷 義三郎 (じゅういちやぎさぶろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 645 caractères · 14 écrans

Aozora Bunko

彼が見上げると、向うの樹の上からどっと歓声が起った。兄と彼女とが同じ枝に止って、真白な口ばたに無花果の実の汁をつけて、笑っているのだった。弟はその下へ駈けよった。

「おいで。無花果進上。」と兄が言った。

「そうよ。無花果進上。」と彼女も言った。

弟は樹の幹に手をかけて振り仰いで、彼らを睨まえた。その時、弟は兄の頬に、何かが止っているのに気がついた。葉越しの太陽の光りが、彼らの白い皮膚の上に、もろもろとした斑点を写しているので見分けにくいが、じいっと眸を凝らすと、大きな蜘蛛が、脚をいっぱいに伸して、奇怪な文身か何かのように、兄の頬にへばりついてるではないか。弟は二三歩あとへよって、無言のまま蒼くなって兄の顔を指した。

「あら、あら、あら」そう叫びながら、彼女は樹の幹に震えついた。異常な神経家の蜘蛛はただならぬ雰囲気を感じたのだろう。兄の頬から細い首筋の方へ動き初めた。兄が何気なくそこへ手をやると、蜘蛛は今度はその手の甲の上に蟠まって、腹を動かした。兄は忙ててもう一方の手でそれを払った。そうしてその瞬間に彼のからだは中心を失って地上に落ちた。

彼女と弟とは固くなって眸を見張った。