Classiques japonais avec furigana
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あおひげにひゃくはちじゅうさんにんのつま
青髯二百八十三人の妻
久生 十蘭
Lisez 青髯二百八十三人の妻 (あおひげにひゃくはちじゅうさんにんのつま) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 736 caractères · 28 écrans
四
宗教糺問所の刑僧は、みな善良素朴な人間ばかりで、残忍な拷問法を考えだしたベラミン僧正などは、衣についた蚤をあわれんで、払いのけることさえしなかったということである。
ランドリュの精神鑑定をしたボーム博士は、こんなふうにいっている。
「ランドリュは精神異状と認められる点はどこにもない。平衡のとれた鋭敏な知能の持主で、ひとを惹きつける座談の名人であり、挙止の美しさということを知っている典雅な紳士である」
遺憾ながら、ランドリュは気狂いではなかったのである。
四
青髯の手帳に、最初に名を書かれたマダム・クゥシェは、ランドリュがレーモンド・デアールという名で出した求婚広告を見て手紙をよこした。三十九歳の寡婦で、サン・ドニの広大な邸に、息子のアンドレェと二人で住んでいた。
ランドリュはマダム・クゥシェの家へ自由に出入りするようになると、財産収得に邪魔なアンドレェを先に片付けることにし、グラン・ブゥルヴァールのキャフェに呼びだして、アガール糖内で培養した肺炎菌を生クリームにまぜて食わした。ランドリュはエンリコ・モルガンティという伊太利人の医学生に学費をやり、代償としていろいろな細菌を受取っていたのである。