Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひじょうのあい

非情の愛

豊島 与志雄

Lisez 非情の愛 (ひじょうのあい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 831 caractères · 24 écrans

Aozora Bunko

その話を、秦啓源に伝えると、彼に真面目に言った。

「その蟹は如何にも日本的だ。全く日本的だ。」

その説に、吾々は率直に同感したのだった。

ところで、私の注意を惹いたことが一つある。

私は秦啓源と波多野洋介とを交際させたかった。それで、秦に向っては、波多野のことをいろいろ話し、波多野に向っては、秦のことをいろいろ話しておいた。勿論さしさわりのない事柄だけではあったが、それを、秦は黙って聞いたし、波多野も黙って聞いた。それから「五郎」で、私は二人を紹介した。

土間の棕櫚竹の鉢植えのそばで、つっ立ったまま、彼等は、互いにじっと見合った。時間にして僅か数秒だったろうが、それが何としても不自然だと思えるほどの長い間、じっと見合った。それも、顔立を眺めるとか顔色を読むとかいうのではなく、眼の中をじっと見入って、眼の孔から心中を覗きこむという工合だった。とっさに、私は感じた。この二人は前から知り合いだったのだ。然しそれならばなぜ、相手方に関する私の話を、二人とも黙って聞き捨てたのであろうか、他人に知られたくない秘密が二人の間にあったのであろうか。疑惑が私の胸に萠した。