Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かばんらしくないかばん

鞄らしくない鞄

海野 十三

Lisez 鞄らしくない鞄 (かばんらしくないかばん) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 36 653 caractères · 73 écrans

Aozora Bunko

その頁には、昨日の日附と夕刻の数字とが欄外に書きこんであり、本欄の各項はそれぞれ小さい文字で埋っていた。

“――省線山手線内廻り線の池袋駅停り電車が、同駅ホーム停車中、四輌目客車内に、人事不省の青年(男)と、その所持品らしき鞄(スーツケースと呼ばれる種類のもの)の残留せるを発見し届出あり、目白署に保護保管中なり。住所姓名年齢不詳なるも、その推定年齢は二十五歳前後、人相服装は左の如し……”

課長はそのあとの文字を、目で一はけ、さっと掃いただけでやめ太い指で紙をつまんで、次の頁をめくった。

次の頁は空白だった。

(さっぱり商売にならんねえ)

と、課長は、刑事時代からの口癖になっている言葉を、口の中でいってみた。ぽたりと微かな音がした。茶色の液の玉が空白の頁の上に盛上って一つ。課長は大湯呑を目よりも上にあげて、湯呑の尻を観察した。それからその尻を太い指でそっと撫でてみた。指先は茶色の液ですこし濡れた。課長はすこし周章てて茶碗を下に置きかけたが、机に貼りつめている緑色の羅紗の上へ置きかけて急にそれをやめ、大湯呑は硯箱の蓋の上に置かれた。

課長の仕事は、まだ終っていなかった。