Classiques japonais avec furigana
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かばんらしくないかばん
鞄らしくない鞄
海野 十三
Lisez 鞄らしくない鞄 (かばんらしくないかばん) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 36 653 caractères · 73 écrans
「ふーん、そうか」
田鍋課長は、満面を朱盆のように赭くして、膝を叩いて呻った。
「ね、課長さん。さっきあなたから伺った話から誘導すると、その美貌の男こそ、烏啼天駆でなければならないと思うんですが、課長さんの意見は如何ですか」
帆村は、大胆なことをいった。
「そうかもしれない。いや、それに違いない。あれが烏啼なら、あのとき逃がすんじゃなかった。で、女は何者か」
「それが分らないのです。しかしですよ、この事件の主軸には、二つの者が功を争っていることは、僕も察していました。例えばあの紛失鞄の新聞広告のことですね。
あの広告主の一人は烏啼天駆であり、もう一人はやっぱりあの女だったんですよ」
「ふうん、なるほど、そういえばそうかもしれない」
「あの二人は、時に一緒になって働きました。その例は、博士から鞄を奪ったときなんかがそれです。それでいて、二人は大いに睨み合っていたんですね。だから博士邸のピストルさわぎも起った。あれはお化け鞄が紛失したのに困った烏啼が、小山すみれを唆のかして、猫又を利用した新規の起重装置をこしらえるように頼んだ。それが完成したので、持って帰ろうとしたところを、例の女が嗅ぎつけて、暴れこんだという訳なんでしょう」