Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lisez 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 621 caractères · 25 écrans

Aozora Bunko

舳のむこうづらに垂れさがっている錨綱をつたってスルスルとのぼって行き、身軽に前口へ飛びこんだが、それっきりいつまでたっても出て来ない。

鰹船のほうでは辛抱づよく待っていたが、いっこう平吉が姿を見せないので、しょうしょう薄気味悪くなってきた。

「どうしやがった、平吉めら」

「※へでも落ちやがったか」

「それにしても、もう小半刻になる。だれかようすを見に行け」

むこうっ気の強い漁師どもも、さすがにわれと進みだすものもない。船頭の喜三次、

「じゃあ、おれが行く」

と、立ちかかったところへ、平吉が遠島船の棚縁から青い顔を出した。

「猫の子一疋いやしねえ。……喜三次ぬし、ちょっとあがって来てくれ……なにか、……えれえことがあったらしいんだ、この船でよ」

「平吉ぬし、そりゃアほんとうか」

「なんで、おれが嘘を。ほんとうもなにも……」

「よし、いま行く」

すぐつづいて、繩上の丑松、

「おれも行こう」

こうなると怖いもの見たさで、船には楫取の和次郎をひとり残してわれもわれもとゾロゾロと遠島船へ乗りうつる。

平吉の言った通り、まさに、奇妙なことが始まっていた。

船極印を調べると、まぎれもない御用船。