Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lisez 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 248 caractères · 27 écrans
軽い足音は、忍び忍び格子戸の前まで近づいて来て、しばらくそこで躊躇うようすだったが、やがて五分きざみに格子戸をひきあけて踏石へにじりあがり、手さぐりでそろそろと部屋へ入って来て行灯に火をつけた。
障子の破れ目から覗いて見ると、年のころ二十ばかりで、すこし淋しみのある面だちの、小柄な芸者。
くすんだ色の浜縮緬の座敷着に翁格子の帯をしめ、島田くずしに結いあげた頭を垂れて、行灯のそばに、じっとうつむいてすわっていたが、小さな溜息をひとつつくとすこしずつ長火鉢のほうへいざり寄って行って、火箸で灰の中をかきまわしはじめた。
その時、とつぜん、ガラリと間の襖があいて、ヌッと敷居ぎわに突っ立ったのが、藤波友衛。
「おい、小竜!……妙なとこで、妙なことをしてるじゃねえか。……夜ふけさふけに、いったいなにをしているんだ」
小竜と呼ばれたその芸者は、ハッと藤波のほうへ振りかえると、ズルズルと崩れて、畳に喰いついて身も世もないように泣き出した。
「顔にも似げない、ひでえことをするじゃアねえか。いくら、男を寝とられたからって、濡れ紙で口をふさぐたア、すこしひどすぎやしないか」