Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かぜ

風

壺井 栄

Lisez 風 (かぜ) de 壺井 栄 (つぼいさかえ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 38 702 caractères · 78 écrans

Aozora Bunko

さっそく明日引っこそうと話がきまると、茂緒は遠慮っぽくいった。

「今日兄にあって、話してくださらない?」

しかし、修造の瞬間のためらいをみてとると、茂緒はすぐ重ねて、

「でも、わたしが、いいますわ。それからあとにして。」

茂緒はふっと、風のそよぎほどの不満を感じたが、さりげなく、

「でも、家へは手紙かいてくださいね。わたし、三日で帰るって出てきたんですから。」

「兄さんにも、手紙かこう。」

明日、ふたりはめいめい新しい家で落ちあうことにした。修造は下宿の荷物を自分で運んでくるから、早くともお昼すぎになるだろうといった。茂緒の方はバスケット一つだからわけはない。支那そばやに入って、十銭のラーメンを注文したあと、念のために茂緒は、新しい家の地図を書いてくれとたのんだ。修造はバットの箱をつぶし、その裏にそれを書きながら、

「渋谷までは分かってるね。玉川電車を三宿で下りて、ここが煙草屋。横丁をまっすぐいって世田谷中学、小学校、オブラート工場と。橋を渡って右へ――もう分かるでしょう。」

「分かります。わたし、さき来て掃除してますわ。」

そういって別れたのだが、兄の家へもどると、いつになく茂緒はぐったりしていた。