Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こうでん

香奠

豊島 与志雄

Lisez 香奠 (こうでん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 989 caractères · 46 écrans

Aozora Bunko

」

そんな風に彼は私へ云いました。その先生という言葉が私には擽ったい気がしたのです。というのは、私は法科大学を出るとすぐ会社員になってしまったせいか、先生と人に呼ばれた経験がなかったのです。で今彼に先生と呼ばれて、可笑しな擽ったい気持になりながら、それでもまあ先生然と澄しこんで、一通りの挨拶を初めました。そこへ妻も茶を運んできて一緒になりました。

「ただ行くというだけの電報で、いつ君が来るか分らなかったものですから……。駅でまごつきやしなかったですか。」

「停車場じゃ何でもなかったですが、途中の道が分らんで困りました。東京の町はひどう入り込んどりますね。」

「え、途中の道が分らなかったって……。」

「何遍聞いてもすぐ分らなくなるもんですから、何十遍も聞きました。」

「あなた、」とその時妻が眼付で笑いながら私へ云いました、「平田さんは東京駅から家まで歩いていらしたんですって。」

「歩いて……。そして荷物はどうしたんです。」

「重いバスケットをさげて歩いていらしたんですよ。」

「へえー、東京駅から此処まで……。」

「先生、私は歩むのは平気です。東京の道は分り悪いから、電車やら俥やらに乗るより、歩んでゆくが一番確かだと云われましたから……。