Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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こうぎょとすいしつ

香魚と水質

佐藤 垢石

Lisez 香魚と水質 (こうぎょとすいしつ) de 佐藤 垢石 (さとうこうせき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 955 caractères · 8 écrans

Aozora Bunko

水源地方に、古生層つまり水成岩の層を持った川の鮎は品質が上等である。これに引きかえ、水源地方の山塊が火成岩である川に育った鮎は味も劣り、香気も薄い。殊に、河原に火山岩が磊々としている川の鮎は、まことに品質がよくないのである。これは、古生層の岩の間から滴り落ちる水は、清冽な質を持ち、それから発生する水垢は、少しの泥垢も交えないので純粋であるからよく鮎の嗜好に適している。ところが、火成岩の山塊を水源とする川の水は、水成岩のそれのように清冽ではない。従ってそこに発生する水垢の質は上等とはいえないのである。

そればかりではない。川底にある水成岩の石の面は滑らかであるから、鮎が石の面の垢をなめるに都合よくできている。これと反対に火成岩の石の面は甚だ粗荒である。鮎の口を損ないやすいことが知れよう。良質の水垢を豊かに食った鮎は香気が高く肉が締まり、泥垢を食った鮎は匂いが薄く、肉がやわらかである。こんなことを頭において鮎を見れば、食味に一段の興趣を添う。

秋気に最も敏感なのは水である。麓の村々ではまだ残る厚さにあえいでいるというのに、土用が終わって一旬も過ぎると、奥山の深い谿々の底には、もう冷涼の気が忍びやかにうかがい寄って、崖の小草を悲しませる。