Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

げかしつ

高野聖

泉 鏡花

Lisez 高野聖 (げかしつ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 51 264 caractères · 104 écrans

Aozora Bunko

白糸は始め不意の面会に駭きたりしが、再び渠を熟視するに及びておのれを忘れ、三たび渠を見て、愁然として首を低れたり。

白糸はありうべからざるまでに意外の想いをなしたりき。

渠はこのときまで、一箇の頼もしき馬丁としてその意中に渠を遇せしなり。いまだかくのごとく畏敬すべき者ならんとは知らざりき。ある点においては渠を支配しうべしと思いしなり。されども今この検事代理なる村越欣弥に対しては、その一髪をだに動かすべき力のわれにあらざるを覚えき。ああ、濶達豪放なる滝の白糸! 渠はこのときまで、おのれは人に対してかくまで意気地なきものとは想わざりしなり。

渠はこの憤りと喜びと悲しみとに摧かれて、残柳の露に俯したるごとく、哀れに萎れてぞ見えたる。

欣弥の眼は陰に始終恩人の姿に注げり。渠ははたして三年の昔天神橋上月明のもとに、臂を把りて壮語し、気を吐くこと虹のごとくなりし女丈夫なるか。その面影もあらず、いたくも渠は衰えたるかな。

恩人の顔は蒼白めたり。その頬は削けたり。その髪は乱れたり。乱れたる髪! その夕べの乱れたる髪は活溌溌の鉄拐を表わせしに、今はその憔悴を増すのみなりけり。