Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
まと
魔都
久生 十蘭
Lisez 魔都 (まと) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 293 999 caractères · 578 écrans
前回、この章は、古市が安南国皇帝附き諜報部長の膝詰談判にあってまさに危機一髪という時、真名古がうっそりと入って来て、「夕陽新聞の古市君だね、妙なところにいるじゃないか」と喝破するところで終りになっていた。
さて、加十は真名古の来訪を告げられるのをキッカケに一時逃れに窮地を脱して置いて、真名古が喝破するより早く外庭に面した窓の方へ駆け寄ってむさんに逃げ出そうとした。
どんな不敵な悪党でも真名古の名を聞いたら、これと同じ衝動を感ずるに違いない。真名古の酷烈さは実に恐るべきもので、どんな隠微な犯罪も見逃しはせぬ。喰いついたら離さぬ。悪女の妄報といえどもこうまで執念深くはあるまい。ヴィニイの小説に北極まで犯人を追い込んで行く刑事の話があるが、どうして! 真名古なら地獄へまでも喰い下って行くだろう。この辛辣な追求に逢ったら、いかなる達人もその手から逃れおわすことは出来ぬのである。
加十はまだ駆出しの雑報記者だが、日ごろ警視庁に出入するから真名古の恐ろしいことはよく知っている。本気で逃げるつもりだったのか、それとも一種の姿勢反射なのか、半ば狂乱の有様で窓を押上げたが、真名古の眼の前でこんなことをするなんて、誰にいわしたって所詮無駄なあがきなのである。