Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
まと
魔都
久生 十蘭
Lisez 魔都 (まと) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 293 999 caractères · 578 écrans
鏡の中には花子の美しい横顔がはっきりと映っている。真名古はさっきから、鏡に映る花子の表情から目を離さずに、仔細に観察していたものとみえる。
真名古は極めてノロノロとやる。墓場からさまよい出した亡霊のようなこの男の、どこからこんなリズミカルな声が出るかと思うほど、それは清く澄んだ、澱みのない声で、イントネイションの美しさは、如何なる名優といえどもこれに及び得るものはあるまい、人の心を夢心地に誘い込むような、不思議な力を持っているのである。
「……犬は静かに歩みよった。するとふいに近くの木から胸毛の黒い親雀が、犬のすぐ鼻さきへ石のように飛びおりて来た。羽根をふり乱し、哀れな声をしぼって、二度ばかり、白い歯をむく犬を目がけて襲いかかった。……親は仔雀の命を身をもって庇おうとしたのだ。けれど鳴く声は次第に狂おしく嗄れていって、とうとう地の上に落ちてしまった。……私はこの勇ましい小鳥のまえに、その愛の激発のまえに、思わず蕭然と襟を正した。――愛は死よりも強い。それによってのみ生活はささえられ、またおし進められる」
この崇高な親雀の話は、花にもよく理解されたものと見え、初めは当惑そうにモジモジしていたが、おいおい顔を上げて熱心に聴き入るようになった。