Classiques japonais avec furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖 (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 56 957 caractères · 114 écrans
考えてみれば一角も、法月弦之丞という強敵をひかえている前に、一人の味方を失うのは得策でない。周馬も、一時、カッとした疳筋の血が下がってみれば、もとより、好むところの斬合いではないので、不承不承に、イヤ、むしろホッとした気持で、お十夜の扱いに任せることになった。
で、その晩は、小県の下和田宿に着いて、いかがわしい旅籠でいかがわしい女どもを揚げ、いかがわしい酒と肴で、昼の仲直りということになり、酔がたけなわとなるに及んでは、周馬がいかがわしい三味線に合せて、怪しげな江戸唄の声自慢までやりだした。
これで、酔中の妥協もついた。だいぶ酔ったらしい天堂一角、振分けを解いて、今まで二人に示したことのない、蜂須賀阿波守のお墨付を出してみせたりした。
そして、天堂一角は、どういう胸算をもっているのか、大望を遂げて帰国すれば、蜂須賀家では屈指な格式にとりあげられるのは無論のこと、やがてまた、幕府が仆れ蜂須賀家が将軍の職をつぐ日には、自分も、十万石や二十万石の大名に成り上がることになる。つまり、今はその階梯だと、すばらしい気焔をあげて、周馬やお十夜の欲望のあまりに小さいことを冷笑した。