Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lisez 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) de 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 127 675 caractères · 254 écrans

Aozora Bunko

診察室の次の間に、父の机がありました。古い大きな机で、両側に幾つも引出しがあります。国から持って来ましたもので、調合台に使用するので広く場所を取りました。上には、筆硯は片隅で、真鍮の細長い卦算が二、三本と、合匙といいますか、薬を量る金属の杓子形のが大小幾本もありました。小さい四角に切った紙を順に列べ、卦算を圧えにして、調合した散薬を匙で程よく分配するのです。終れば片端から外して折畳むのですが、よく馴れていて、見ていると面白いようでした。幾つかを重ねて袋に入れて、患者の名を書きます。水薬の方は、傍らに三尺の棚があって、大小さまざまの薬瓶や壺などが置いてあり、その下で調合するのでした。書生などはいませんから、浸剤などになると母が手伝います。

丸薬は母のお得意でした。私はいつか呑み馴れて、いつまでも愛用しました。兄たちから、そんなに呑んで、といわれるほどでしたが、父は何ともいわれませんかった。原料の這入った瓶には芳香酸としてありました。きっと健胃剤の類でしたろう。傍らの木の箱に、綺麗にした蛤の貝殻があるのは、膏薬を入れて渡すのでした。その膏薬も手製です。