Classiques japonais avec furigana
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がこせんにん
鵞湖仙人
国枝 史郎
Lisez 鵞湖仙人 (がこせんにん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 555 caractères · 22 écrans
仙人の屋敷に美女がいる? 少し不自然と云わざるを得ない。
と、天竜の川の上に、ポッツリと青い光が見えた。それがユラユラと左右に揺れた。そっくり其の儘人魂である。
すると窓から覗いていた、若い女が咽ぶように叫んだ。
「おお幽霊船! 幽霊船!」
五
「幽霊船だって? 何んの事だ?」
こう呟いたのは正雪であった。
彼は此時厩の背後、竹藪の中に隠れていた。
で、キラリと眼を返すと、天竜川の方を隙かしてみた。
いかにも此奴は幽霊船だ。人魂のような青い火が、フラフラ宙に浮いている。……提灯で無し、篝火で無し龕燈で無く松火で無い。得体の知れない火であった。
どうやら帆柱のてっぺんに、その光物は在るらしい。正雪は何時迄も見詰めていた。次第に闇に慣れて来た。幽霊船の船体が、朧気ながらも見えて来た。
天竜川は黒かった。闇に鎖ざされて黒いのである。時々パッパッと白い物が見えた。岩にぶつかる浪の穂だ。その真黒の水の上に、巨大な船が浮かんでいた。それは将しく軍船であった。二本の帆柱、船首の戦楼矢狭間が諸所に設けられている。
そうして戦楼にも甲板にも、無数の人間が蠢いている。