Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きりん

麒麟

谷崎 潤一郎

Lisez 麒麟 (きりん) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 040 caractères · 18 écrans

Aozora Bunko

紙のように薄い青玉色の自暖の杯に、冷えたる酒を注ぐ時は、少頃にして沸々と熱し、悲しき人の腸をも焼いた。南海の鰕の頭を以て作った鰕魚頭の杯は、怒れる如く紅き数尺の鬚を伸ばして、浪の飛沫の玉のように金銀を鏤めて居た。しかし、聖人の眉の顰みは濃くなるばかりであった。

夫人はいよ/\にこやかに笑って、

「先生の顔は、更に美しゅう輝いて来た。妾はいろ/\の鳥と獣との肉を持って居る。香の煙に魂の悩みを濯ぎ、酒の力に体の括りを弛めた人は、豊かな食物を舌に培わねばならぬ。」

かく云う言葉の下に、珠冠を戴き、菜※の帯を結んだ七人の女官は、さま/″\の鳥と獣との肉を、皿に盛って卓上に運んだ。

夫人はまた其の皿の一つ一つを一行にすゝめた。その中には玄豹の胎もあった。丹穴の雛もあった。昆山龍の脯、封獣のもあった。其の甘い肉の一片を口に啣む時は、人の心に凡べての善と悪とを考える暇はなかった。しかし、聖人の顔の曇は晴れなかった。

夫人は三度にこやかに笑って、

「あゝ、先生の姿は益立派に、先生の顔は愈美しい。あの幽妙な香を嗅ぎ、あの辛辣な酒を味わい、あの濃厚な肉を啖うた人は、凡界の者の夢みぬ、強く、激しく、美しき荒唐な世界に生きて、此の世の憂と悶とを逃れることが出来る。