Classiques japonais avec furigana
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むぎのめ
麦の芽
徳永 直
Lisez 麦の芽 (むぎのめ) de 徳永 直 (とくながすなお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 532 caractères · 10 écrans
善ニョムさんは、まったく狂人のように怒り出して、畑の隅へ駈けて行くと天秤棒をとりあげて犬の方へ駈けていった
「ち、ちきしょうめ!」
しかし、犬は素早く畑を飛び出すと、畑のくろをめぐって、下の畑へ飛び下りた。そしてこれも顔を赤くホテらした断髪の娘は、土堤から畑の中へ飛び下りると、其処此処の嫌いなく、麦の芽を、踏みしだきながら、喚めいた。
「チロルや、チロルや」
五
善ニョムさんは、もう勘弁出来なかった。麦の芽達は、無惨に踏みちぎられて、悲鳴をあげてるではないか。善ニョムさんは、天秤棒をふりあげて、涙声で怒鳴った。
「ど、どちきしょめ!」
断髪の娘は、不意に、天秤棒でお臀を殴られると、もろくそこへ、ヘタってしまった。
「いたいッ」
娘は、金切声で叫びながら、断髪頭を振り向けて、善ニョムさんを睨んだ。
「ど、どうしてくれる、この麦を!」
善ニョムさんは、その断髪娘が、誰であるかを見極めるほどの思慮を失っていた。「――さぁこん畜生、立たねえか、そらおめえの臀の下で、麦が泣いてるでねえか、こん畜生、モ一つ擲るぞ」
善ニョムさんは、また天秤棒を振りあげたが、図々しく、断髪娘はお臀をなぐられて、まだヘタリ込んだままであった。