Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くろねことみ

黒猫十三

大倉 燁子

Lisez 黒猫十三 (くろねことみ) de 大倉 燁子 (おおくらてるこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 366 caractères · 29 écrans

Aozora Bunko

主人は手にしていた茶色の封筒を渡しながら、じろりと変な眼付をして、彼の顔を見た。

「急ぎだそうですよ」

無愛想に云って、部屋を出て行きながら、もう一度振り返って、彼の様子を盗み見た。その眼には明白に侮蔑の色があった。唇の辺りにも嘲笑が漂っているように思われたので、本庄は厭な気持がした。が、渡された封筒の裏を返して見ると、急に顔色を変えて魂消た。

「しまった!」

彼は思わず心で叫んだ。

それは警視庁からの喚出しであった。見る見るうちに、小鼻の上にぶつぶつと油汗が染み出てきた。辰馬久が捕ったに相違ない、さもなければ、――少女を浚った人が逃げる途中で捕ったか。何れにしても奇怪な事になったものだ。封をきる彼の指先は震えている。しかし事にも手紙は非公式の喚出状で、殊に差出人が有名な宮岡警部であったのは意外の喜びであった。警察官としては珍らしい温味のある人だとの評判も聞いている。それに都合の好い事には偶然にも同郷であった、それ等を思い廻らしてそこに一抹の光明を発見して、彼は多少元気づいた。とにかく一刻も早く出頭しよう、遅刻して怪しまれては損だ、と思って飛び起きた。