Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あなたもわたしも
あなたも私も
久生 十蘭
Lisez あなたも私も (あなたもわたしも) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 133 405 caractères · 263 écrans
広場をわたりかえして、駅の前のパチンコ屋へ行く。
暑いので、押しあうほどには混んでいない。
はじけかえる金属の摩擦音と、気ぜわしいベルの音。うだるような暑気に耐えながら、玉受けの穴から機械的に玉を送りこんでいると、徴用されて、名古屋のボール・ベアリングの工場で玉を磨いていた、情けない夏の間の記憶が、指先によみがえってくる。
むこうの台で、漁師らしいのが、大きな声で話をしている。
「古女房の初っ子で、それが難産というんじゃ、おめえも楽じゃねえな」
「今夜の、潮いっぱいは、宵の五ツ半か」
時計を見あげているような、短い間があってから、長いため息がきこえた。
「あと三十分ってところが、ヤマだ。やりきれねえや」
鎌倉の漁師は、満潮のことを「潮いっぱい」という。月の引く潮のいきおいで、赤ん坊を産もうとしている女房がいる。満潮になれば、洞のなかで溺れてしまう青年がいる。
サト子は、時計を見あげた。
八時半。ぞっと鳥膚がたった。
「つかまるくらいなら、死んでしまう」と、あの青年は言った。
言葉のカザリのようではなかった。あんな深い目つきをしてみせる青年なら、言ったとおりのことをするのだろう。