Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おごそかなかわき

おごそかな渇き

山本 周五郎

Lisez おごそかな渇き (おごそかなかわき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 36 042 caractères · 71 écrans

Aozora Bunko

「おっ母さんは」ときいて、隆二は茶碗と匙を置いた。

「いなくなっちゃったの、東京にいるとき、――あたし小さかったからよく知らないけれど、或るとき急にいなくなっちゃって、それっきり帰って来ないし、どこへいったかもわからないの、お父さんがずいぶん捜したんだけれど、どうしてもわからなかったんですって、それから、うちに下宿していた中川さんも引越してしまったわ」

松山隆二はまた右手で、眼の前を左右に払った。眼の前になにやら、蜘蛛の巣のようなものが見えるからであった。それは払っても払っても、すぐにまた見えるので、うるさかった。彼は囁くようにきいた。

「それからこっちへ来たんだね」

りつ子は頷いた、「そのほかにもいろいろいやなことがあったんですって、東京なんて人間の住むところじゃあないって、何遍も何遍も云ったのを覚えてるわ」

そして、この下の吉野村にしるべがあり、それを頼って、五年まえに移住して来た、ということであった。当時この小屋は、――りつ子は家とは云わず、はっきり「小屋」と云った、――ながいあいだ住む者もなく、すっかり荒れはてて、畳のない床板のあいだから、竹がにょきにょきと、十幾本かも伸びていたそうであった。