Classiques japonais avec furigana
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おじさんのはなし
おじさんの話
小山 清
Lisez おじさんの話 (おじさんのはなし) de 小山 清 (こやまきよし) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 232 caractères · 42 écrans
それでも、おじさんの酒はいい酒で、呑むとすぐいい機嫌になって、それこそ酔った泥鰌のようにぐんにゃりして、眠ってしまった。浅草へ出かけて行って、映画を見たり浪花節をきいてきたりすることもなかった。むかし蔵前のA新聞の店にいたときは、近くに浪花節の常設の小屋があって、常住そこから折込広告を持ち込んできて無料入場券などもよく手に入ったので、その頃は毎晩のように浪花節をききにいったものだとおじさんは云った。云うまでもなく、おじさんはもう女遊びをするという年ではなかった。おじさんの楽しみと云えば、やはり蠣殻町へ通うことであったろう。
あるとき店へ中年の堅気な感じの男の人がおじさんを尋ねてきた。おじさんは着物を着かえてその人と連れ立って出て行った。おじさんを尋ねて誰かが来たことは、それが最初であり、また最後であった。その人がどういう人か、またどんな用件でおじさんを尋ねてきたのか、私達もべつに詮索しなかったし、またおじさんも帰ってきてからどんな話もしなかったが、おじさんの郷里の人だということだけが私達にもわかった。そのことがあってからしばらくしてから、二年ばかり経ってからだったが、戦争もはげしくなってきて店の者も殆ど戦争にとられて店の様子も寂しくなった頃であったが、あるときふとおじさんが、いつも胴巻に挟んでいる大きな