Classiques japonais avec furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Lisez おせん de 邦枝 完二 (くにえだかんじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 74 074 caractères · 148 écrans
おこのが昼といわず夜といわず、ひそかに睨んだとどのつまりは、独り四畳半に立籠もって、おせんの型にうき身をやつす、良人の胸に巻きつけた帯が、春信えがくところの、おせんの大事な持物だった。
カッとなって、持ち出したのではもとよりなく、きのうもきょうもと、二日二晩考え抜いた揚句の果てが、隣座敷で茶を入れていると見せての、雲隠れが順よく運んで、大通りへ出て、駕籠を拾うまでの段取りは、誰一人知る者もなかろうと思ったのが、手落といえばいえようが、それにしても、新七が後を追って来ようなぞとは、まったく夢にも想わなかった。
「駕籠屋さん。済まんが、急いどくれやすえ」
「へいへい、合点でげす。月はなくとも星明り、足許に狂いはござんせんから御安心を」
「酒手はなんぼでもはずみますさかい、そのつもりで頼ンます」
「相棒」
「おお」
「聞いたか」
「聞いたぞ」
「流石にいま売だしの、堺屋さんのお上さんだの。江戸の女達に聞かしてやりてえ嬉しい台詞だ」
「その通り。――お上さん。太夫の人気は大したもんでげすぜ。これからァ、何んにも恐いこたァねえ、日の出の勢いでげさァ」
「そうともそうとも、酒手と聞きいていうんじゃねえが、太夫はでえいち、品があるッて評判だて。