Classiques japonais avec furigana
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おるすばん
おるすばん
壺井 栄
Lisez おるすばん de 壺井 栄 (つぼいさかえ) en japonais avec furigana. JLPT N3. Touchez un mot pour le sens.
N3 · intermédiaire · kanji et kana modernes · 6 306 caractères · 13 écrans
「おじいさん、ほら、いつかしらん、おじいさんといっしょにたんぼの中を雨にぬれて走ったでしょう、カ子、あれおぼえとるわ。」
和子が遠い遠い記憶の中からたぐり出して語ると、おじいさんはびっくりして、
「ありゃお前、四つ位の時じゃったぞ、それにたんぼじゃない、山じゃったよ、お前をつれてドングリの苗を植えに行った帰りじゃった。おじいさんが苗を植えよる間に、カ子はヒメユリやトラノオや、いろんな草花をそこらじゅうで一抱えほどもつんできて、持って帰りよったのう。雨がひどく降り出してきておじいさんがカルコにのせてカ子をおぶってやっても、カ子はその花を抱えていて、なんぼ捨ていというても離さんもんで、おじいさんの首筋から花のしずくが流れこんできて、おじいさんはかぜをひいてしもうた。それもおぼえとるかい。」
「そんなことおぼえとらんけんど、おじいさんの手拭で頬かぶりしたの、知っとるわ。」
「ふむそうかいな、それはおじいさんは忘れとったのう。そんなら、泳ぎに行って、おぼれかけたのはおぼえとるかい、ありゃカ子が五つか六つの夏じゃったで。」
「えっ、私がおぼれかけたの、どこで。」
和子はびっくりしてとんきょうな声をあげました。