Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おじぎ

お時儀

芥川 竜之介

Lisez お時儀 (おじぎ) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 067 caractères · 9 écrans

Aozora Bunko

ただ窓べりによりかかりながら、春めいた山だの畠だのを眺めていたように覚えている。いつか読んだ横文字の小説に平地を走る汽車の音を「Tratata tratata Tratata」と写し、鉄橋を渡る汽車の音を「Trararach trararach」と写したのがある。なるほどぼんやり耳を貸していると、ああ云う風にも聞えないことはない。――そんなことを考えたのも覚えている。

保吉は物憂い三十分の後、やっとあの避暑地の停車場へ降りた。プラットフォオムには少し前に着いた下り列車も止っている。彼は人ごみに交りながら、ふとその汽車を降りる人を眺めた。すると――意外にもお嬢さんだった。保吉は前にも書いたように、午後にはまだこのお嬢さんと一度も顔を合せたことはない。それが今不意に目の前へ、日の光りを透かした雲のような、あるいは猫柳の花のような銀鼠の姿を現したのである。彼は勿論「おや」と思った。お嬢さんも確かにその瞬間、保吉の顔を見たらしかった。と同時に保吉は思わずお嬢さんへお時儀をしてしまった。

お時儀をされたお嬢さんはびっくりしたのに相違あるまい。が、どう云う顔をしたか、生憎もう今では忘れている。