Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
かげろうのにっき
かげろうの日記
堀 辰雄
Lisez かげろうの日記 (かげろうのにっき) de 堀 辰雄 (ほりたつお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 30 890 caractères · 60 écrans
こんな事があるよ。この世を背いて、家を出てまで菩提を求めようとした人にな、留守居のものが何を言いに来たかと思うと、瞿麦がどうの、呉竹がどうのと、さも大事そうに聞かせているぞ」とお笑いになりながら仰ゃると、あの子も障子の向うでくすくす笑い出していた。それを聞くと、私までもつい一しょになっておかしいような気もちになりかけていたが、ふとそんな自分に気がつくが早いか、それがいかにも自分でも思いがけないような気がしながら「私と云うものはたったこれっきりだったのかしらん」と思わずにはいられなかった。……
その夜も更けて、もう真夜中近くになりかかった頃、あの方が急にお気づきになったように「どちらが方塞りにあたるか」と仰ゃられ出したので、数えて見ると、丁度此方が塞がっていた。「どうしようかな」と、あの方もお当惑なすったように仰ゃって、「ともかくも、一緒に何処かへ移ろうじゃないか」と私をお促しなさるけれど、私は打ち臥したぎり、まあ、こんな事ってあるものかしらと、胸のつぶれるような思いに身を任せながら、しばらくは返事も出来ないほどになっていた。それから私はようやっとの思いで口を開きながら「また他の日にいらっしゃいませ。