Classiques japonais avec furigana
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これからけっこんするひとのこころもち
これから結婚する人の心持
宮本 百合子
Lisez これから結婚する人の心持 (これからけっこんするひとのこころもち) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 834 caractères · 12 écrans
いつ訣れなければならなくなるか分らないから、では一日も早く二人の生活を一緒にしよう。そういう風に行く場合も多かったろうと思う。その遽しさ、幸福を二人の手の間からとり落すまいと、互に扶け合って時を惜しむ営みの姿のなかには、涙ぐまれる眺めがある。けれどもそこには、甲斐甲斐しさもあるし、運命をさけてまわらないでそのなかから最上のものをとり、最上と思われる生きかたの道をつけて、生き越して行こうとする若い人々の努力が汲みとられる。
最も一般的に感じられたのは、訣れを前に見て、その最悪の場合というものを考えて、結婚をのばし、躊躇する気分ではなかったろうか。千人針というようなものが目新しい街頭風景であった頃は、確かにその気分が親たちの分別から流れ出して、若い男の思慮へ入り、そして、若い女のひとたちの眼のなかにも読みとられる反映となっていたと思う。多くの若い婦人を読者とする雑誌の小説などは、敏感にそれに触れた。愛をもってその人の幸福をねがっている男が、自分に起った出征ということから予想される様々の場合を深く考えて、対手の女には遂に心を語らずに出発して行くこととか、婚約を一先ず解いて、女の運命を混乱から守っておいてやる、というような行動が、勇敢な男のヒロイックな感情として描かれていたのを覚えている。