Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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すみだがわ

すみだ川・新橋夜話 他一篇

永井 荷風

Lisez すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 44 378 caractères · 88 écrans

Aozora Bunko

小梅の伯父なる蘿月宗匠は早くも名人になるべき素質があると見抜いて、長吉をば檜物町でも植木店でも何処でもいいから一流の家元へ弟子入をさせたらばとお豊に勧めたがお豊は断じて承諾しなかった。のみならず以来は長吉に三味線を弄る事をば口喧しく禁止した。

長吉は蘿月の伯父さんのいったように、あの時分から三味線を稽古したなら、今頃はとにかく一人前の芸人になっていたに違いない。さすればよしやお糸が芸者になったにした処で、こんなに悲惨な目に遇わずとも済んだであろう。ああ実に取返しのつかない事をした。一生の方針を誤ったと感じた。母親が急に憎くなる。例えられぬほど怨しく思われるに反して、蘿月の伯父さんの事が何となく取縋って見たいように懐しく思返された。これまでは何の気もなく母親からもまた伯父自身の口からも度々聞かされていた伯父が放蕩三昧の経歴が恋の苦痛を知り初めた長吉の心には凡て新しい何かの意味を以て解釈されはじめた。長吉は第一に「小梅の伯母さん」というのは元金瓶大黒の華魁で明治の初め吉原解放の時小梅の伯父さんを頼って来たのだとやらいう話を思出した。伯母さんは子供の頃自分をば非常に可愛がってくれた。