Classiques japonais avec furigana
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すみだがわ
すみだ川・新橋夜話 他一篇
永井 荷風
Lisez すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 44 378 caractères · 88 écrans
しかるに車掌が何事ぞ、
「スントミ町。」と発音した。
丸髷の一人は席を立って、「それじゃ、御免ください、どうぞお宅へよろしく。」
「ちッと、おひまの時いらしッて下さい。さよなら。」
電車は桜橋を渡った。堀割は以前のよりもずッと広く、荷船の往来も忙しく見えたが、道路は建て込んだ小家と小売店の松かざりに、築地の通りよりも狭く貧しげに見え、人が何という事もなく入り乱れて、ぞろぞろ歩いている。坂本公園前に停車すると、それなり如何ほど待っていても更に出発する様子はない。後にも先にも電車が止っている。運転手も車掌もいつの間にやら何処へか行ってしまった。
「また喰ったんだ。停電にちげえねえ。」
糸織の羽織に雪駄ばきの商人が臘虎の襟巻した赧ら顔の連れなる爺を顧みた。萌黄の小包を首にかけた小僧が逸早く飛出して、「やア、電車の行列だ。先の見えねえほど続いてらア。」と叫ぶ。
車掌が革包を小脇に押えながら、帽子を阿弥陀に汗をふきふき駈け戻って来て、「お気の毒様ですがお乗りかえの方はお降りを願います。」
声を聞くと共に乗客の大半は一度に席を立った。その中には唇を尖らして、「どうしたんだ。