Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あわもりものがたり

『たぬき汁』以後

佐藤 垢石

Lisez 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) de 佐藤 垢石 (さとうこうせき) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 118 470 caractères · 244 écrans

Aozora Bunko

ある夜、城下の街からすばらしい火の手があがった。と、同時に寄せ手の軍勢は、鬨の声をあげ、城門も吹っ飛べとばかり、何万かが束になって押し寄せてきた。城兵は、これを迎えてなにかと必死になって戦ったけれど、如何とも支え得られそうもない。

城門を押し倒して、あわや城内へ北条勢が押し込もうと見える危機一髪のとき、不思議なり城の一角から大軍勢が押し出し、手に手に松火を翳して、北条勢の鬨の声よりも、さらに大きな鬨の声をつくって寄せ手のなかへ躍り込み、敵を無二無三に斬りまくったのである。

城兵も、これがために勢いを盛り返して、奮戦したので、さしもの北条、武田合同軍も、ついに敗走してしまったのである。これに乗じて城兵は、城外へ押し出して敵を追跡し、これを殲滅しようとしたけれど、伏兵の虞れありとなし、謙信はこれを制止した。

だが、思いがけない軍勢が、味方を救ったことについて、城内の幹部も兵卒も、甚だ不思議としたけれど、その謎は解けなかった。戦闘が終わって、城内の石垣の上や、門の扉に明るい朝暾が当たりはじめたころ、将兵が斬り合いの激しかった場所へ行ってみると、そこにもここにも獣の毛がちらばっている。