Classiques japonais avec furigana
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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
Lisez ちくま日本文学014 谷崎潤一郎 (しゅんきんしょう) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 85 196 caractères · 169 écrans
この谷を見に来られて、やはり自分が案内をした時、そのお方が「ここに御前申すと云う岩があるか?」とお尋ねになったから「へい、ございます」と云って自分があの岩を示すと、「ではべろべどと云う岩はあるか?」と、重ねてお尋ねになったので、「へい、ございます」と、又その岩を見せて上げたら、「なるほど、そうか、それならここは自天王のいらしった所に違いない」と、感心してお帰りになった、―――などと云う話をしたが、その奇妙な岩の名の由来は分らなかった。
この案内者は外にもまだいろいろの口碑を知っていた。昔、京方の討手がこの地方へ忍び込んだとき、どうしても自天王の御座所が分らないので、山また山を捜し求めつつ、一日偶然この峡谷へやって来て、ふと渓川を見ると、川上の方から黄金が流れて来る、そこで、その黄金の流れを伝わって溯って行ったら、果して王の御殿があったと云う話。王が北山の御所へお移りになってから、毎朝顔をお洗いになるのに、御所の前を流れている北山川の川原へ立たれるのが例であったが、いつも影武者が二人お供していて、どれが王様か見分けがつかない。討手の者がたまたまそこを通り合わせた村の老婆に尋ねると、老婆は、「あの、口から白い息を吐いていらっしゃるのが王様だ」