Classiques japonais avec furigana
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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
Lisez ちくま日本文学014 谷崎潤一郎 (しゅんきんしょう) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 85 196 caractères · 169 écrans
一枚の映像をたよりに彼女の風貌を想見するより仕方がない。読者は上述の説明を読んでどういう風な面立ちを浮かべられたか恐らく物足りないぼんやりしたものを心に描かれたであろうが、仮りに実際の写真を見られても格別これ以上にはっきり分るということはなかろうあるいは写真の方が読者の空想されるものよりもっとぼやけているでもあろう。考えてみると彼女がこの写真をうつした年すなわち春琴女が三十七歳のおりに検校もまた盲人になったのであって、検校がこの世で最後に見た彼女の姿はこの映像に近いものであったかと思われる。すると晩年の検校が記憶の中に存していた彼女の姿もこの程度にぼやけたものではなかったであろうか。それとも次第にうすれ去る記憶を空想で補って行くうちにこれとは全然異なった一人の別な貴い女人を作り上げていたであろうか
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春琴伝は続けて曰く、「されば両親も琴女を視ること掌中の珠のごとく、五人の兄妹達に超えて唯りこの児を寵愛しけるに、琴女九歳の時不幸にして眼疾を得、幾くもなくしてついに全く両眼の明を失いければ、父母の悲歎大方ならず、母は我が児の不憫さに天を恨み人を憎みて一時狂せるがごとくなりき。