Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

てかてかあたまのはなし

てかてか頭の話

小川 未明

Lisez てかてか頭の話 (てかてかあたまのはなし) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 183 caractères · 5 écrans

Aozora Bunko

この残りは、また今度つけるがいい。」といって、鬢付け油を若者に渡そうとすると、この脊の高い若者は、おいおいと声をあげて泣き出しました。

「どうか、後生だから、みんなおれの頭に塗ってくんなさろ。」と、泣きながらいったのです。

おじいさんは、しかたがなく、指の頭で、堅い鬢付け油を欠いては、若者の頭に塗りました。額から汗が流れて、指頭が痛くなりました。おじいさんは、指頭に力を入れて、顔をしかめながら、

「このばか溶けろ、このばか溶けろ。」といいながら、やっとのことで、鬢付け油一本をついに若者の頭に塗ってしまいました。

若者は満足して、この理髪店から外に出てゆきました。

若者は、やがて往来に出ると、頭から、とめどもなくだらだらと油が溶けてきました。初めのうちは、それでも元気よく歩いていましたが、しまいには目となく、耳となく、鼻となく油が流れこんできて、目口も開かなくなったので、若者は、道の上のひとところにじっと動かずに立ち止まってしまいました。

「このばか溶けろ、このばか溶けろ。」と、せみの鳴き声がそういっているように聞こえるかと思うと、だんだん男の体が頭から溶けはじめてきたのです。