Classiques japonais avec furigana
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とうげのちゃや
とうげの茶屋
小川 未明
Lisez とうげの茶屋 (とうげのちゃや) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N3. Touchez un mot pour le sens.
N3 · intermédiaire · kanji et kana modernes · 6 035 caractères · 12 écrans
この、のどかな、ゆったりとした気持ちは、おじいさんと向き合う山も同じでありました。黄・紫・紅と、峰や谷が美しく彩られていました。そして、まんまんと、青く澄みわたる空の下で、静かに考え込んでいるように見えました。こうして、いい天気のつづく後には、冬を迎えるすさまじいあらしがくるのを、あらかじめ知らぬのではないけれど、すぎし日の、春から夏へかけての、かがやかしかった思い出に、心を奪われて、短い日ざしのうつるのを忘れているのでした。まして、このとき、おじいさんと山の静かな心持ちを破るものは、なにひとつなかったのです。
ところが、ある日、こんなうわさが、茶屋で休んだ村の人から、おじいさんの耳へはいりました。
「おじいさん、ここへ、このあいだ、あめ屋さんが寄って、たいそう酔ったというじゃないか。」
「ああ、いい気持ちで、帰らした。」と、おじいさんは、にこにこして、答えました。
「どうりで、きつねにばかされたって。なんでも、一晩じゅう林の中で、明かさしたということだ。」
「えっ、あめ屋さんがかい。」と、おじいさんは、びっくりしました。
「町へいく道へ出ようと思って、おなじ道をなんべんも、ぐるぐるまわっているうちに、目がさめると、西山の林の中で、寝ていたというこった。