Classiques japonais avec furigana
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とびよなけ
とびよ鳴け
小川 未明
Lisez とびよ鳴け (とびよなけ) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 471 caractères · 12 écrans
「だれも、野球をやっていないが、どうしたんだろう。」と、辰一は、がっかりしたが、年末であるので、なにか都合があってこられなかったのだろうと思いました。
ここからは駅が近く、絶えず電車や、汽車の笛の音がしていました。そして、停車場のあたりは、にぎやかな町でありました。辰一は、暮れの街の景色を見物して帰ろうと思いました。
ガードをくぐると、そこだけは、一日じゅう日蔭で、寒気がきびしく、肌を刺しました。暗を照らす電燈の光は、うす濁ってぼうっとかすんでいます。出口の煉瓦の壁に、出かせぎ人夫募集のビラが貼られていました。生活のために、未知の土地へいく人のことを考えると、なんとなく、胸をしめつけられるような気がしました。
「健康であれば、どこへいっても生活ができる。」と、学校の先生のおっしゃった言葉が浮かんできました。
さすがに戦時であって、町は、いつもの暮れとちがい、べつに飾りもなくてさびしかったのです。それでも歳末の気分だけは、どこにかただよっていました。アスファルトの道を人々が忙しそうに往来しています。くつの音とげたの音が、入りまじって耳にひびきました。