Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

どぶろくげんそう

どぶろく幻想

豊島 与志雄

Lisez どぶろく幻想 (どぶろくげんそう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 452 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

」

それが、果して周さんとの問答だったかどうかは、分らない。

焼跡の草原まで来て、月が出てることが分った。薄曇りの空の中天に、淡い半月があって、地上には靄の気が漂っていた。

周さんは立ち止った。俺が千代乃さんを見かけた所だ。高い雑草の中に、周さんは数歩分け入り、そして地面を見つめた。千代乃さんの死体が横たわっていた場所だろう。その辺、草は踏み荒されていた。

周さんは鶴嘴をふるった。だがそれには及ばなかった。地面は案外柔かく、鍬だけで充分だった。二尺ばかり下に、小石交りの固い層があり、そこを鶴嘴で突破すると、また柔かくなった。四尺ほど掘った。

深夜のその作業は神祕じみていた。こそこそと侏儒どもが、地下の宝物を発き盗もうとしてるかのような、錯覚が起った。然し現実に、穴を掘ってるのは周伍文であり、側で見てるのはこの野島だ。なにか滑稽で忌々しく、笑殺したいのだったが、反対にふっと涙が湧いた。

「もういいだろう。」

あたりを憚る低い声で言った。

二人とも穴を覗き込んだ。ただ黒々としている。

俺は思いがけない自分の声を聞いた。

「アジアの憂鬱を、埋めよう。」

周さんは素直に答えた。