Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

どぶろくげんそう

どぶろく幻想

豊島 与志雄

Lisez どぶろく幻想 (どぶろくげんそう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 452 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

」

尾高もさすがに、千代乃から金を借りていないとは言わなかったが、利子の件はそっぽ向いて取り合わなかった。そしてそれからは、濁酒の極上品の仕入れ先はどこかと、しつっこく千代乃に尋ねかけた。だが、その仕入れ先こそ、周伍文の唯一の祕密だったのである。固より、自家で造っているものではなかった。

「誰にも言ってくれるな、よろしい、誰にも言わない、そういう約束です。男と男との約束です。信用の問題です。人間としての信義の問題です。日本のひとは、約束を破って、祕密をもらすことを、自慢にさえしているようですが、わたしどもは違います。一旦誓った約束ならば、たとえ女房に対しても守ります。わたしは千代乃に、どぶろくの仕入れ先を、決して明かしませんでしたよ。」

その仕入れ先を、尾高がどうしてああまで知りたがったのか、理由ははっきりしない。つまりは、統制経済違反の確証を握って、周伍文を脅迫する意図だったとも見える。そして千代乃にしつっこく迫ったが、千代乃自身知らないこととて、何の手掛りも得られなかった。それを尾高は千代乃の強情のせいだと思ったらしく、悪どい手段に出た。詳しいことは分らないが、女中の言葉などを綜合してみると、尾高は周伍文の不在をねらい、子分を二人も連れてきて、卓子に短刀を突き立て、罵詈雑言や脅迫の限りをつくしたらしい