Classiques japonais avec furigana
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ひとでなし
ひとでなし
山本 周五郎
Lisez ひとでなし de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 484 caractères · 38 écrans
もっときつくして、とおようが云った。
「こんどあの人から話があったときは、あたしちっとも迷わなかった、いちにち考えただけで承知したわ」
「いやと仰しゃったって、旦那のほうであとへはひかなかったでしょうよ」
「それはわからないわ」
「あたしにはわかってました、旦那のそぶりでちゃんとわかってました」とおつねは元結をしめながら云った、「初めっからですよ、旦那はしんそこおかみさんが好きだったし、口にこそ出さないけれど、好きだということを隠そうともなさいませんでしたわ、それでいてちっともいやみなところはないし、おれがという顔もなさらない、だから、そうらしいなと勘づいたお客もいたけれど、一人だって悪く云ったためしはありませんでしたわ」
障子をあけて、おみつがはいって来た。
「与兵衛さんがいらっしゃいました」とおみつは長火鉢のそばへ寄りながら云った、「それから太田さんやなべさんが、おかみさんはまだかってせっついていますわ」
「みんなが揃ってからよ」とおつねが云った、「今夜はお祝いなんだから、みなさんの顔が揃ったらおかみさんも出ますって」
「いいのいいの」とおようが遮った、「いま髪を解いてますから、ちょっとたばねたらまいりますって、そう云っといてちょうだい」