Classiques japonais avec furigana
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ひとでなし
ひとでなし
山本 周五郎
Lisez ひとでなし de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 484 caractères · 38 écrans
者には、泥まみれ傷だらけの人間の気持はわからない」
男は唇をひきむすんで呻いた。殆んど声にはならなかったが、まるで搾木にでもかけられたような、呻きかたであった。
「正直に云うが私は胸のここを」と康二郎は続けた、「刃物かなにかで抉られたように思いました、おようの云うとおりです、私には力造を悪く云う資格はない、力造が悪いことをし、おようが苦労するのを、私はただはたから見ていただけです、ふところ手をして、向う河岸の火事を眺めるように、――私は自分がどんな人間かということを、今夜はじめて悟りました」
「そんならなおさら、あの人を仕合せにしてやるのが本当じゃあねえでしょうか」
康二郎はまた振向いた。振向いて、いま初めてその男に気づいたような調子で訊いた、「おまえさんはいったいどういう人だ、なにかおようにかかわりでもあるんですか」
「かかわりがあるとすれば」と男はくいしばった歯のあいだから云った、「もしかかわりがあるとすれば、それはあの人よりも旦那のほうですよ」
康二郎は眼を凝らして相手を見た。
「力造は生きてる」と男が声をひそめて云った、「あいつは死んじゃあいない、生きて、すぐ向うの法現寺で待ってる