Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ひやめしものがたり
ひやめし物語
山本 周五郎
Lisez ひやめし物語 (ひやめしものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 861 caractères · 31 écrans
けれども、頭の中のなにか廻るような感じはそれとは無関係だった。くるくる廻るものの中に、やがてひょいと花が浮び上った、それは桔梗の花のみずみずしい紫である、「縁組」という言葉を聞いて、初めて、記憶の底に沈んでいたものが、甦ってきたのだ。
「厭ですよ」彼はこうはっきりと云った、「断わって下さい」
「大四郎さん」母親がまずびっくりした、「あなた、考えなしにそんなことを云って……」
「考えるまでもないんです、私は婿にゆかなくともよくなったんですから。まだ表向きには云えないんですが、もうすぐ奥小姓にあげられて、正経閣へ勤めるようになるんです」
「なんだって」こんどは兄がびっくりした。
「お母さん、様と寝ようか五千石取ろか、というのを知ってますか」彼はそこを立ちながらこう云った、「私もやっぱり嫁を貰いますよ」
翌朝はやく、大四郎は中村の三兄を訪ねた。いつかの話の娘に、改めて求婚する依頼である、その時初めて知ったのだが、相手は郡奉行所に勤める深美新蔵という者の妹で、名はぬひ、年は十七ということだった。次兄はすぐに深美へゆき、縁談はすらすらと纒まった。然しそのひと月は、おそろしく多忙だった。