Classiques japonais avec furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lisez わが町 (わがまち) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 93 840 caractères · 186 écrans
荷物はうちが便利屋に頼んで、持って来てもらいまっさかい」
そう言うと、他吉は、
「お前までわいに隠居せえ言うのんか。なんの因果でわいが河童路地を夜逃げせんならん」
いつにない強い口調だった。
「そうかて、うちが結婚したら、隠居する、三人で一緒に住むいう約束やったやないか、お祖父ちゃんにまだ河童路地に居てもらうくらいやったら……」
結婚するんじゃなかったと言い掛けて、君枝は次郎の顔を見てはっとした。
次郎の顔は蒼ざめていた。その顔を横向けたまま、次郎はふるえる声で言った。
「そら、そやろ。河童路地からこんな汚い家へ来るのは、恥かしいやろ。夜逃げ同然でなけりゃ、来られんやろ。そんな気イやったら、なにも来てもらへんでも宜しい」
次郎はかっとなる性質だった。
「――どうせ僕は甲斐性なしです。気に入らんかったら、君枝を連れて帰ってもらいましょう」
次郎は本当に他吉が好きで、一緒に住みたかったのだが、ひとつには、他吉を引き取るくらいの甲斐性者になったことを、皆んなに見てほしかったのである。だから、〆団治の前で、それを他吉に断られたのが、心外だったのだ。〆団治がその場に居らなかったら、次郎はこうまで腹が立たなかったであろう。