Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

わがまち

わが町

織田 作之助

Lisez わが町 (わがまち) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 93 840 caractères · 186 écrans

Aozora Bunko

第二章 大正

助け船を出したが、もう他吉はきかず、無理矢理説き伏せて、新太郎をマニラへ発たせた。

他吉は初枝とふたりで、神戸にまで見送りに行ったが、

「わいもこの船でいっしょに……」

……行きたい気持をおさえるのに、余程苦労した。

その代り、銅羅が鳴るまで、他吉はベンゲット道路の話をし、なお、

「モンゴ屋商売しても、アメリカ人の客には頭を下げんでもええぞ。毎度おおけにと頭が下りかけたら、いまのベンゲットの話を想い出すんやぜ。――それから、歯抜きの辰いう歯医者に会うたら、忘れんと二円返しといてや。わいが虫歯抜いてもろた時の借りやさかい、他あやんがよろしゅう申してました言うて、二円渡しといてや」

と、言った。

「コレラに罹らんように、気イつけとくなはれや」

初枝はおろおろして、やっとこれだけ言った。

初枝は〆団治の世話で、新世界の寄席へ雇われて、お茶子をした。

第二章 大正

1

そこは貧乏たらしくごみごみとして、しかも不思議にうつりかわりの尠ない、古手拭のように無気力な町であった。

角の果物屋は何代も果物屋をしていて、看板の字も主人にも読めぬくらい古びていた。