Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

アンドロギュノスのちすじ

アンドロギュノスの裔

渡辺 温

Lisez アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) de 渡辺 温 (わたなべおん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 129 168 caractères · 267 écrans

Aozora Bunko

赤い煙突

………………

………………

(――あたしの赤い煙突。なぜ煙を吐かないのかしら? お父さまとお母さまの煙突からは、あんなに沢山煙が出ているのに……)

彼女は七つの秋、扁桃腺炎を患って二階の窓の傍に寝かされた時、はじめてその不思議を発見した。

秋晴れの青空の中に隣の西洋館の屋根の煙出しが並んで三本あった。両側の二本は黒く真中のは赤い色をしていた。そしてその赤い色の一本はずっと小さくて何処か赤い沓下をはいた子供の脛のような形であった。彼女にはまるでその様子が父親と母親との間に挾まった自分であるかのように見えた。けれども、おかしいことにも、彼女は毎日々々寝床の中から殆どそれらの煙突ばかりを見ていたのだが、赤い色のはついぞ一度も煙を吐かなかった。……彼女は感動しやすい子供だったので、その小さな煙突をひどく可哀相に思って、しまいには泪を浮かべて眺めた。

(――あたしの赤い煙突は屹度病気なんだわ……)と彼女は思った。

併し、間もなく彼女の病気は癒ったが、彼女の赤い煙突はやはり煙を吐かなかった。

彼女は生れつきひ弱かったので、その後も幾度となく病気をした。そして二階の窓の傍へ寝かされた。