Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

オンチ

オンチ

夢野 久作

Lisez オンチ de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 20 673 caractères · 42 écrans

Aozora Bunko

三人が警察の門を出た時には四隣がモウ真暗になっていた。生れて初めて警察官の取調を受けた又野は、すっかり毒気を抜かれたせいであったろう。昼間の昂奮も、怒りも忘れたように、元の木阿弥のオンチ然たる悄気返った態度に帰って、三好と戸塚の後からトボトボと出て来たが、そのまま三人が三人とも黙々として、人通りの多い明るい道を合宿所の方向へ歩き出した。

その中に三人が揃って薄暗い横町に曲り込むと、三人とも夢から醒めたように顔を見交した。

「オイ」

「何だい」

三人が揃って黒板塀の間に立佇まった。三好が帽子を脱いで頭を掻き掻き云った。

「俺は何だか大切な事を一つ警察で話し忘れて来たような気がするがなあ」

「何だい。すっかり話しちゃったじゃねえか」と戸塚が眼をパチパチさせた。

「ウン俺も何か知らん、一番大切な事をば云い忘れて来たような気がしてならん」

又野が街燈の光りを仰ぎながら初めて微笑した。戸塚が、その顔を振返りながら不安らしく云った。

「何も忘れた事あねえぜ。西村さんが殺されてよ……軍手をはめた手でなあ」

「そうよ。あの鉄の棒は警察で引上げて行ったろう。四分の一吋ぐらいの細いパイプだったが……なあ又野……」