Classiques japonais avec furigana
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カインのまつえい
カインの末裔 クララの出家
有島 武郎
Lisez カインの末裔 クララの出家 (カインのまつえい) de 有島 武郎 (ありしまたけお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 45 864 caractères · 93 écrans
それを見ると仁右衛門は「待て」といって呼びとめた。振向いた子供たちは「まだか」の立っているのを見ると三人とも恐ろしさに顔の色を変えてしまった。殴りつけられる時するように腕をまげて目八分の所にやって、逃げ出す事もし得ないでいた。
「童子連は何条いうて他人の畑さ踏み込んだ。百姓の餓鬼だに畑のう大事がる道知んねえだな。来う」
仁王立ちになって睨みすえながら彼れは怒鳴った。子供たちはもうおびえるように泣き出しながら恐ず恐ず仁右衛門の所に歩いて来た。待ちかまえた仁右衛門の鉄拳はいきなり十二ほどになる長女の痩せた頬をゆがむほどたたきつけた。三人の子供は一度に痛みを感じたように声を挙げてわめき出した。仁右衛門は長幼の容捨なく手あたり次第に殴りつけた。
小屋に帰ると妻は蓆の上にペッたんこに坐って馬にやる藁をざくりざくり切っていた。赤坊はいんちこの中で章魚のような頭を襤褸から出して、軒から滴り落ちる雨垂れを見やっていた。彼れの気分にふさわない重苦しさが漲って、運送店の店先に較べては何から何まで便所のように穢かった。彼は黙ったままで唾をはき捨てながら馬の始末をするとすぐまた外に出た。