Classiques japonais avec furigana
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チェーホフのたんぺんについて
カシタンカ・ねむい 他七篇
神西 清
Lisez カシタンカ・ねむい 他七篇 (チェーホフのたんぺんについて) de 神西 清 (じんざいきよし) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 46 418 caractères · 92 écrans
問題はチェーホフが、このロパーヒン役をスタニスラーフスキイに振り当てようとしたことにある。それほど註文のやかましい役だったのである。
周知のように、スタニスラーフスキイは『三人姉妹』のヴェルシーニンとか、『村の一月』(ツルゲーネフ)のラキーチンとか、『ヘッダ・ガブレル』のレウボルグとか、或いは『ヴァーニャ叔父さん』その人とかいうふうの、どっちかといえば繊細味の勝った中年の「余計者」型にしっくりする役者で、決して成上り者に合うはずがない。ところが当の商人ロパーヒン自身も、奇怪なことには「画家のようなしなやかな手をした、こまやかな優しい心の持主」として描かれているのだ。のみならずチェーホフがダンチェンコやスタニスラーフスキイに宛てた手紙でくどくどと駄目を押しているところによれば、ロパーヒンは白チョッキに黄色い短靴をはいている、両手をふって大股に歩く、歩きながら考える、髪は短くない、したがってちょいちょい首を振りあげる、考えごとをする時は髯を後から前へ指でしごく――とか、彼は商人とはいえあらゆる意味で立派な人物だ、だから完全に礼儀正しく思慮のある人間として振舞うべきで、こせついたり小手先を弄したりしてはいけない――とか、チェーホフとしては珍しく微に入り細をうがった註文をつけている。