Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lisez キャラコさん de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 28 043 caractères · 56 écrans
びっくりしたように、遠くからまじまじと眺めてから、大股で歩いて来てキャラコさんの前に突ったった。
(秋作氏は美しいな)
下から仰ぎながら、キャラコさんは、そう思う。
秋作氏は今年三十三になる。スラリとした美しいフォルム。喰いつきたいほど形のいい腰。切れの長い鋭い眼。顔は浅黒くひきしまっていて、いかにも理智的な、俊敏な風貌だ。
「おい、どうしてこんなところにいる」
「あたし、ひとりのほうがいい」
「妙なやつだな。みなお茶を飲みに行ったぞ」
「お茶なんか、飲みたくない。……誰もいなくなったら、ひとりでピアノをひいて遊ぶつもりなの」
「ふうん、では、おれの出て行くのを待ってたのか」
キャラコさんは、正直なところを、いう。
「ええ、そうなの」
秋作氏は、てらい気のない、素直なこの従妹がだいすきだった。小さい時から、親切で、謙譲で、誰からでも愛される不思議な徳を持っていた。ほかの子供なら、ずいぶん憎らしくきこえそうなことでも、この娘がいうと妙に愛嬌になるのだった。
誰をも好き、誰にでも愛想がいいが、そのくせ、粗忽に知己をつくらぬしっかりしたところがあり、理解力と感受性が豊かで、どんな物事に対しても妥当な判断を誤まらず、何に対しても極めて穏健な意見をはいた。