Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Lisez キャラコさん de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 452 caractères · 19 écrans

Aozora Bunko

にのんびりと歩きつづけていた。

はっきりとはわからないが、心をひそませてじっくりと記憶をたどると、雁来紅の家へ行く道筋が、おぼろげに心に浮んでくる。

赤土の崖道をしばらく歩いて行くと、そのうちに、小さな流れに行きあたる。……その土橋をわたると、枳殻の長い垣根が始まって、道がすこし登りになりながら、雑木林の中へ入り込んで行く。……雑木林を出ると、急に眼の前がひらけ、ゆるい丘の中腹ほどのところにその家がある……。

キャラコさんは、切通しの途中に立ちどまって、右左を見廻す。……どうも、この道もいちど通ったことがあるような気がする。雑木林のようすも、赤土の崖のいろも、ぼんやりと心の網膜にしみついている。

「……もしか、この道だとすると、ここを降り切ると、小川の小さな土橋のそばへ出るはずなんだけど……」

十分ほど歩くと、道が大きくカーヴして、とつぜん、向うに小川が見え出した。

「川がある!」

なぜか、不思議な気持も、恐ろしい感じも起きない。

キャラコさんは、頓着しないでズンズン歩いて行った。この道にさえついて行けば、間もなく油絵の中の家に着くはずだった。

……そして、あの青年が絵のままのようすでそこに住んでいる……。