Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ドグラ・マグラ

ドグラ・マグラ

夢野 久作

Lisez ドグラ・マグラ de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 424 847 caractères · 824 écrans

Aozora Bunko

眼を丸くして正木博士の顔を見たが、間もなく又、鍬の方を振り返りつつ独言のようにつぶやいた。

「……そうです……あれは僕の鍬なのです」

「ウン。それは解っているよ」

と正木博士はうなずいて見せた。

「……あの鍬は君のものなんだ。しかし折角ああやって熱心に稼いでいるんだから、もうすこし待っていてくれないか。そのうちに十二時のドンが鳴れば、あの爺さんはキットあの鍬を放り出して、飯を喰いに行くにきまっているんだから……そうして午後はもう日が暮れるまで決して出て来ないのだから」

「キットですか」

こう云って正木博士をふり返った呉一郎の眼は何となく不安そうに光った。正木博士は安心せよという風に深くうなずいて見せた。

「キットだよ。……そのうちに今一挺、新しいのを買ってやるよ」

呉一郎は、それでも何かしら不安そうに鍬の上げ下げを凝視していたが、間もなく独言のように口籠りつつつぶやいた。

「僕は今欲しいんです……」

「フーム。何故だね……それは……」

しかし呉一郎は答えなかった。ピッタリと口を閉じて、又も、鍬の上下を見守り初めた。

正木博士はその横顔を、緊張した表情でジッと睨みつけた。